6:30に起きて、約束の場所に行くが、時間になっても誰も現れない。
7時を10分ほど回ったところで、ツアー会社の人と思われるおばちゃん登場。
ツアーの
日本人は我々を含めて6人。それから双子の中国人姉妹、生真面目そうなイギリス人青年、全身タトゥー入りのアメリカ人女性、カナダ人のカップル、などさまざま。
3台のワゴンに分けられ、約90分かけてアユタヤまで向かう。
バンコクの北80kmの場所に位置する古都アユタヤは、14世紀から18世紀にかけて栄華を誇ったタイ族による王朝である。
しかし、そういう沿革とか魅力についてはどうか別のサイトをご参照願いたい。
本記事の焦点は、いかにこのツアーが「すごかったか」、ということに集約される。
スタッフは3人のドライバーと、「iPood」とプリントされたTシャツを着たガイドのおじさん↓
(以下、Mr.iPoodと呼称)

「呼んだ?」
※スティーヴ・ブシェミにそっくし。
なお、「ガイド」を辞書で調べると、その一項に「外国人の旅行者を通訳を兼ねて案内する人」とあるが、第一の問題としてMr.iPood、ブロークンすぎて英語が理解できない。
最初の地に着いた時、全員を集め、愛用のガイドブックを取り出して説明を始めた。
開始5分は聞き取ろうと努力した。
しかし、「アユタヤ」、「ビルマ」、「エレファント」の3つの単語以外、全く理解できなかった。
諦めて、開放されるのを待つが、Mr.iPood、オーディエンスの当惑具合とは反対に、とにかく話が長い。
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ようやく「行ってよし」ということになる。
小学校の遠足を思い出した。

ま、こういうところですよ。
こんな調子で、「乗れー」→「降りろー」→「集まれー」→「よし行けー」→「また乗れー」を繰り返し、何箇所か回る。
ちなみにアユタヤ遺跡は世界文化遺産に登録されているので、今回の旅で訪れる3つ目の世界遺産ということになる。

「世界遺産?俺のことか?」
3つの大きな仏塔で知られるワット・プラ・シー・サンペットというところに移動したのだが、ここでのMr.iPoodの話は輪をかけて長い。
紙芝居のように広げるガイドブックの図と、時々耳に飛び込む単語、そしてかつての記憶によって推察すると、どうやら彼は「アユタヤ王朝がビルマに滅ぼされた」ということを訴えているようだ。
談笑する中国娘3人、自らのガイドブックを読むイギリス人、「長いよ」と目で合図を送るアメリカ人、それでも惰性で相槌だけは打つ日本人、いずれにしても彼の熱弁を完全に理解できる者はいない。
しまいに、突然何かを思い出したようにガサゴソとポッケからライターを取り出したかと思うと、愛本の写真の前で、
カチッ(←着火)
「バーン・・・。」
カチッ(←着火)
「バーン・・・。」
と、戦火を表現する小芝居を始めた。
隣を見るとソウ兄の目がうつろだった。
苦痛の時を過ぎてようやく開放され、まずはファンタで一呼吸置いていたら、無性にMr.iPoodのパフォーマンスがおかしく思えてきた。
「いいですか皆さん、」

「バーン・・・。バーン・・・。」
完全にツボに入って思い出し笑いが止まらなくなると、ソウ兄にも伝染した模様で、兄、ファンタを吹き出す。
笑いをひきずりつつも一通り寺院を回った。

ま、こういうところですよ。

ヴィハーン・プラ・モンコン・ボピットの中。
大仏の高さは17mだそうですよ。
集合時間になったので戻り、またぞろぞろと移動。
すると、Mr.iPoodに校倉様式に似た建物の中に連れていかれる。
「あれ?昼飯?」と思う。
※このツアーはランチ付き。
しかし、中はがらんと何もなく、再びMr.iPoodの熱弁が始まる。
・・・数分で熱弁と言うか念仏が終わると、「さあ行くぞ」とそこを出る。
「一体ここは何だったんだよ。」
すでに
ここで、よせばいいのにソウ兄が参加者の日本人男子に今回の参加費について尋ねると、400Bだったという。
・・・我々は600B払った。
空き地へ行って口笛を吹きたい気分だった。

象乗り場、

涅槃仏と回って、
問題のランチタイムと相成った。
食堂に入り、4人がけのテーブルにつくと、
豚肉のない酢豚、青菜の炒め物、卵焼きの3品がテーブルに並べられた。
この3皿の副菜を4人でシェアしろ、という。
なんだか目がしょぼしょぼしてきた。
― ご飯は食べ放題、というのがむしろ空しい。
ふと窓際のスタッフ・テーブルを見ると違う炒め物の皿なども並んでいる。

「焼き方?ミディアムレアで。」
さすがにハメられたことに全員が気づく。
誰かがボソリと「1人予算50Bってとこか・・・」とつぶやく。
不思議なことに、間抜けなのはこの破壊的クオリティの提供者である主催者側のはずなのだが、見渡すとそれにハマった
次が最後の訪問地、ワット・マハータート。
アユタヤ最大の見所の1つ、菩提樹の根に埋まる仏頭があることで知られる場所だ。
↓これね。

ここに辿り着く前に、iPood全員集合の号令。
アハハハ、今度は何が始まるんだろうと、思っているとMr.iPood、1枚の看板の前に全員を集める。
そこには、
・仏頭のない仏像に頭を乗せて写真を撮ってはいけません
とか
・壊れた寺院の壁の上に昇ってはいけません
とか
・仏像のある台座に乗ってはいけません
などの
図解入りの注意書きが、
日本語と英語で書いてある。
大事なことだ。
しかし、
見れば10秒でわかる内容をMr.iPood、
身振り手振りを交え、10分かけて熱演。
もはや全員の目がうつろ。
こういうのを、

に説法と言うんだな、と体得。
自由になった直後、近くに日本人観光客に説明するガイドの人がいたので、横で盗み聞きしてみる。
すると、
・この一帯の寺院はクメール人が建立し、仏教建築と思われがちだが、ヒンズー教がベースとなっている。
・仏塔の下には地下室があり、50年ほど前から本格的発掘作業が行われ、数々の至宝が発見された。
・最近は改善されたものの、修復作業は非常にずさんで、遺跡はコンクリートで補修されている。
・仏塔の中も以前は空洞であったが、コウモリやヘビが巣を作るのでやはりコンクリートで塗りこめられてしまった。
など、いちいち膝を打ちたくなるような知識の数々。
Mr.iPood、これが"プロ"と呼ぶのだと思う。

「飲み方?ロックで。」
ソウ兄、もう1人の日本人男性にも参加費を尋ねたらしい。
1,800Bだったそうだ。なんなんだ、このアバウトさ。
とっさに「地団太」という言葉が頭に浮かんだ。
最後に唐突に「船で川下りをしたい人は言ってくれ」と言われる。
そういえば、前回アユタヤに来た時はチャオプラヤ川を下って、バンコクに帰ったっけ。
エクストラチャージがかかるらしいが、この際またワゴンに揺られて黙々と帰るよりはよかろう、と船を選ぶつもりだった。
船着場に着いて、ドライバーに「船でバンコクまで行くにはどれくらいかかるの?」と聞いてみた。
ところが、ドライバーは手をばさばさと振って、Mr.iPoodに聞いてくれ、というサインを送る。
見ていたイギリス人青年が、
「なんだ、このツアースタッフは1人も言葉通じなかったのか」と、つぶやく。
しかも船でバンコクに戻る、というのは勘違いで、この辺の運河を1時間ほど巡って、結局ここからワゴンで帰る、ということだった。
・・・なんの意味もないので、早く帰る方を選ぶ。
ここまで来ると、参加者いや犠牲者たちから悟りを開いたように自然なアルカイック・スマイルがこぼれだす。
こうして、さらに90分ワゴンに揺られてバンコクに戻るのであった。
本当は書ききれないエピソードもまだまだあるのだが、この辺で勘弁しておこう。
なお、唯一このツアーで評価するところがあるとすれば、予定より1時間早く解散になったことだ。
カオサンに戻り一休みしてから、夕方に「タイスキを食べに行こう」という話になり、トゥク・トゥクを捕まえて中華街へ。
結構大き目のタイスキ屋に入って、好きなだけ注文する。
会話の中心はやはりアユタヤ珍遊記のこと。
トラウマ必至のツアーだったが、これだけ話のネタになっただけでも十分元は取れたような気がした。
もうこういう団体ツアーに参加するのはこりごりだけど。
こうして、今回の旅を締めくくる最後の夜は更けていった。


Fヒコが参加したLas Vegas旅行を思い出した。
みんな言うこと聞いてたってすごいね。俺10分も聞いてれないと思う・・・・。
言うこと聞いていたというか、聞いても理解できなかったわけだけどね。
もう2度と団体ツアーはごめんですわ。
コメントありがとうございます。
ちなみに"バーン"="burn"の意であると思われます。ふるふると首を振りながらつぶやくさまは、映画「ファーゴ」のスティーヴ・ブシェミそのものでした。
関係ないですが、「しあわせの予感」って言われるとなんかピンと来るものございませんか?
すいません。昔同姓同名の歌手の方がいたんです。。
お読みいただいてありがとうございました。
ご自身の旅が楽しいものであることをお祈りしております。
インフォメーション痛み入ります。
まさか、かようなコメントを頂戴するとは思いませんでした。なんかすみません。
検索エンジンが世間を狭くする。