カトマンズから飛ぶこと4時間、"天使の都"バンコクに着陸した。
タイ時間で20:30、ネパールとの時差1時間15分だけ時計を進める。
バンコクを訪れるのは実に11年振りになる。
・・・とはいえ、行きの飛行機もバンコクを経由しているため、トランジットのために空港には5時間以上滞在した。
その時も思ったが、以前来た時より明らかに空港が新しい。
以前は旧国際空港、ドンムアンを利用したのだが、今回は丁度1年前に開港したばかりのスワンナプーム国際空港(Suvarnabhumi International Airport)に降り立ったわけだ。
覚えにくい名前の空港だ。
覚えにくいのは名前だけではない。
広すぎて道が全く覚えられない。
帰国便に乗る前には、行きの時に横になって休んだソファの場所がどうしても見つからなかった。

まるで「浮遊機械都市ボーグ」のよう。(←マニアック過ぎ)
と、まあ空港は未来世紀ブラジルなわけだが、さすがに気候は変わらない。ロビーから外に出た瞬間にねっとりとした湿気が、ザラメのように体にまとわりつく。
バックパッカーのメッカ、カオサン通り(Khaosan road)行きのバスに乗り込むと、周りは「いかにも」な西洋人たち。
さて、空港からカオサンまではざっと1時間以上かかったのだが、まず驚いたのが、街まで続く道路から見える風景は10年前とは大違いなこと。
10年前、まず驚かされたのが、野象とおぼしき象たちが空港から街まで辿り着く間に点々といたり、とにかく異国に来たのだ、という実感があった。
ところが、今回目立つのは赤地に黄色いアーチの看板や、カーネルのおじさん。
真剣に「ここはL.A.か?」と思った。
アメリカと日本、そして破竹の勢いの韓国資本が随分と流入してきているなあ、というのが今回の第一印象。
カオサンに着いたのが、22:18。
カオサンは外国人旅行者が集まる場所なので、ネオンギラギラ、騒音ガンガンでとにかく四六時中騒がしい。

ここもなんか印象変わったなあ、と思う間もなく、まずは今夜の宿を探さなくてはならない。
3軒回って、ツイン1泊300バーツ(以下Bで表記)のゲストハウスに決める。
※1バーツ=3.6円。3倍で計算するといいかも。
ファン付き、エアコンなしの部屋だが、熱帯では案外エアコンよりファンの方がすごしやすい。
大通りから20mほど脇にそれるので、少しはうるさくないかな、というのもある。
1人約500円と考えると、安いは安いが、やっぱりタメルと比べると高い。
食事のために、カオサンに出る。
目と耳を覆わんばかりの装飾と騒音はタメルも同じだが、カオサンのそれがライヴハウスだとすると、タメルのそれはチンドン屋だ。より自分好みなのは後者。
レストランでトムヤムクン定食とビールを頼む。
6年前にやはりバンコクを訪れているソウ兄と、「相当物価上がったよね」という話をする。
カオサンをぐるりと1周して、ネパールでは1軒もお目にかからなかったコンビニに入り、水を買う。
帰りしな、通りがかりの屋台のミー(麺)が妙にうまそうだったので、立ち寄る。
勘は当たって、30B也のそのミーはヒットだった。

卵麺がオススメです。
さて、これで宿に戻るわけだが、「次の日にアユタヤに行かないか」、というのがソウ兄の提案だった。
行ったことはあったが、まあきれいなところだったので、「じゃ行きますか」という話になっていた。
が、例によってガイドブックの類は一切持っていないのでどうやって行けばよいのかわからない。
時間を遡ると、カオサンに着いて間もなくツアー会社があったので、そこでアユタヤへの行き方について聞いたところ、500Bで半日ツアーがあって、明日も早朝に出発するという。
その時は躊躇して、まあいいやという話になり、距離的には車で2時間くらいのものなので、自分たちでバスでも見つけるか、ということで落ち着いていた。
ところが、部屋に戻って読書をしていると、ソウ兄が向かいのゲストハウスでアユタヤツアーの申し込みができるという話を仕入れてきた。
向かいの宿の小太り兄ちゃんによれば、本当かウソか自分たちでバスを探して、というのは不可能だと言う。(←まあウソだったんだけど)
じゃあツアーならいくらだ?と聞くと650Bだという。
さっきカオサンで500Bだったんだけど、と言うと「ありえない」と言う。(←まあありえたんだけど)
とにかく時間は既に0時を回っており、もしもこのボタモチの言うことが正しければ、今決断しないとアユタヤには行けない。
結局、交渉で600Bに落として、ツアーに申し込む。
7時に宿の前に集合だと言うので、戻ってさっさと寝支度を始めた。
しかし、この時我々は誤った決断をしていたこと、次の日のツアーがいかに珍遊記であるかをまだ知らない。
その時点ではかわいそうに、そんなこととは露知らず、いっそ鳴らなければよかった目覚ましをセットして、すやすやと眠りに就くのであった。

