7:30起床。
雨は止んでいる。期待大。

朝食には今日もガーリックスープをオーダー。普段、朝にニンニクを食べることなどまずありえないので、軽い違和感と共に、非日常的な行為に対する愉悦を覚える。
Base Campを目指すChristineを見送ってから洗濯をする。
支度を整え、9時に出発。今日は大荷物は部屋に置いていけるので実に楽チン。
ルートはシャンボチェ(Syangboche)のEverest View Hotelを経由してクムジュン(Khumjung)まで行って、ナムチェに戻ってくるというコース。

ナムチェを見下ろす位置。「マチュピチュ行ったんだ」って言ったら騙される人も少なくあるまい。
ロッジから見上げることができる斜面をガツガツと登るが、登山道は細く傾斜はきつい。加えて、道が何度も枝分かれするため、どっちに進めばよいかわからなくなる。
ここに来て初めて、ガイドの必要性を感じた。
頂に見えるストゥーパ(仏塔)をマイルストーンに1時間ほどかけて休み休み登る。目印のストゥーパを過ぎると、傾斜はかなり楽になり、視界も開け、渓谷を見下ろせる絶景が広がる。
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Everest View Hotelには11時に到着した。
余談だが、Everest View Hotelについて少し説明すると、1972年に竣工したこのホテルは、標高3,880mに位置する世界で一番標高の高い場所に建つホテルとして有名。
(ちなみに富士山の標高は3,776m)
このホテルは日本人の手によって建てられ、現在も日本の会社によって運営されている。値段も高い。

さて、このホテルにはカフェテラスがあり、そこからエベレストが見える文字通りエベレスト・ビューなわけで、宿泊するととっても高いけど、テラスにいる分には紅茶一杯でなんぼでもいられる素敵スポットなのである。
しかし、テラスに出てみると空は厚い雲で覆われており、エベレストは元より一番手前の山でさえ姿を隠している。

本来ならあの雲の向こうに・・・。
そこには昨日ナムチェのレストランで見かけた日本人のカップルが。話してみたところ、彼らとは関空からカトマンズまでずっと一緒の飛行機だったことが判明し、奇しくも同じ日に同じタイミングでこの場所にいる妙縁を分かち合う。
彼らは大阪から来た実は新婚さんだったのだが、かつてはお互いバックパッカーだったそうだ。普通、新婚旅行といえば「南の島」というのが相場だと思うが、自分としてはちょっと辛い思いを一緒にして、達成感を共有できるこういう旅の方がよっぽど新婚旅行には向いていると思う。ゆえにこうして付いて来てくれる女性を見つけた彼を羨ましく思った。(曰く『彼女の方が連れ回している』そうだが)
なお、彼らは帰りもバンコクまで同じ飛行機なので、これからもちょいちょい遭遇することになる。
それはそれとして、結局エベレストは見れず、歯噛みしつつクムジュン(Khumjung)へ向けて下る。道はずっと下りで、昼過ぎにはクムジュンに到着した。

クムジュンも大きな街だ。面積で行ったらナムチェより大きいかもしれない。しかし、この街は底冷えするように静まり返っている。ナムチェでは人が行き交い、売り子が声を張り上げ、石を打つ音が絶えず聞こえるのだが、ここではヤクの首に付けた鈴がカラカラと鳴るくらいだ。
なんでもこの地で、かの植村直己がエベレスト登頂に向けての高地トレーニングを積んだという話を聞いていたので、ゆかりの場所がないか聞いてみようと思ったが、道行く人の反応はよろしくない。
単に英語を話さないだけの話かと言えば、西洋人向けのロッジが一杯あるわけなので、そういうわけでもなさそうだ。
結論から言うと、別に無愛想なわけでもヨソ者を差別しているわけでもなく、ここの人たちは単にのんびりしているだけなのだ。
ソウ兄が売店のおじさんに「ここはナムチェに比べて静かだねえ」と言うと、「ナムチェがうるさいだけさ」という答えが返ってきたそうだ。
のんびりの裏づけといってはなんだが、昼食に入った食堂でチキンスープとチャパティを頼んだだけで50分も待たされた。
が、何も悪びれた様子もない笑顔とともに料理が運ばれてくると、むしろこちらのせせこましさを教えられたようだった。確かに何を急ぐわけでもなし。
13:00過ぎにクムジュンを発ち、キャンジュマ(Kyangjuma)という小さな町を経由して、First View Pointと言われる場所へ。そこからはエベレストこそ見えないが、ローチェ・シャー(Lhotse Shar 8,383m)、アマ・ダブラム(Amai Dablang 6,856m)を始めとするヒマラヤの山々が一望の下に見渡せる。
恐らくそこと思われる場所は、意外なほど近く30分ほどで着いてしまった。そこには特に何があるわけではなく、路傍にゴロンと大きな岩が転がっているだけのところで、その岩に座って、山々を臨む。
しかし、天気は相変わらずの曇天。
めげずに大岩に腰掛け、ひたすら天気が変わるのを待つ。
― 1時間はいただろうか、一時は雲の中にすっぽりと入り、辺り一面乳白色に包まれていたのが、甲斐あって段々と雲が散っていった。

すっぽり雲の中
そして遂にヒマラヤ山脈の巨大な一角がわずかながら頭を覗かせる。
ローチェ・シャーだった。
考えにくい目線の高さにあったので、始めは雲の切れ目にしか見えなかった。それが徐々に山の形を見せた時、空から山が落ちてきた、そんな感覚に陥った。
それほど高く雄大で、人を感動させるには十分すぎるほどの「大きさ」だった。
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さらに30分ほどそこでウォッチングを続け、15時を回った辺りで後ろ髪引かれつつもナムチェに戻ることにした。
明日はナムチェ滞在最後の日なので、なんとか晴れてエベレストが見えるとよいのだが。
帰り道は実にフラットで16時過ぎにはナムチェに帰り着く。
街には今までとはまた違うルートで下りるが、途中小学校や石切り場を目にした。

左手奥が小学校
宿に戻るとママが我々の洗濯物をきれいに畳んでおいてくれていた。ありがたい。
一度部屋に戻り、暗くなる前にとポイを取り出してまた近場で回す。

ソウ兄と近所のお子様。結構気に入っている一枚。
夕食のためロッジの食堂に行くと、ノルウェー人のオーヴィンがいる。今日はどうしてた、明日はどうする、ノルウェーではこうだ、日本はどうだ、とか他愛のない会話だが、やはりこういう時間が嬉しい。
夕食の後、昨日行けなかったClub Paradiseに行ってみることにした。
場所は案外あっさりと見つかり、中に入ってみたが、見たところJonathanは来ていないようだった。
しかし、そこのオーナーのアンパサン・シェルパ(Ang Pasang Sherpa 以下パサン)が、大の日本びいきで、昔東京に住んでいたということで盛り上がる。
妙に器用な日本語で話しかけてきて、一杯おごってくれたりするものだから、最初のうちは裏があるのではないかと勘ぐってしまったほどだ。
が、彼は単純に楽しかった東京での生活を共感してくれる人がいて嬉しかっただけで、第一彼は我々よりもよっぽど金持ちだ。
なんでもナムチェでは4軒ほど店を経営していて、奥さんと子供はカトマンズに住んでいるのだとか。店にはビリヤード台が置いてあって驚いたが、これもパサンの仕込みだと言う。(ヘリで運んだらしい)
そして何よりここでのパサンとの出会いは、カトマンズに戻ってから新たな偶然とリンクすることになる。
途中でJonathanがやってきたはいいが、何やらツケが溜まっていて込み入った話をしていたので、結局あまり話すことはできなかった。
ソウ兄とビリヤードを1ゲームやって(負け)、帰途に着く。
パサンとの会話は大いに有益で、特に疑問に感じていたネパール人の宗教観(ヒンズー教と仏教が混在する民族性とその融和点)について聞けたのは収穫だった。
さて、明日がエベレスト・ラストトライになるわけだが、この時点でも星空は厚い雲に隠されており、期待感を削ぎ落としてくれる。
しかし、ここに至るまでの充足感を考えると、仮にエベレストが見れなければ見れないでも、まあ別にいいかとも思えてくる。
そもそも何故エベレストにこだわるのか?と聞かれれば返答に困る。
エベレストで帰らぬ人となった登山家ジョージ・マロリーはかつて、「なぜエベレストに登るのか」という質問に、"Because it is there."(そこにそれがあるから)と答えたという。
いかにも名言のように語り継がれているが、実は別に明確な理由があったわけではなく、「だってそこにあるからでしょ」程度の感覚で、少なくともこの回答の中には特にこだわりはないように思う。
だとすれば、自分も同じように変にこだわりを持たなければよい。
「そこにあるんだよね、ホントは」ぐらいの感覚を持って帰れればそれでよい。
無論、じゃ明日も曇りでいいの?と言えば、力強く否定するところではあるが。
【■ ネパール・ヒマラヤ紀行の最新記事】



エベレストビューホテルでお会いした日本人夫婦の嫁です。
ブログ楽しく拝見させていただきました。
ブログに登場させていただけた事、光栄です。
新婚旅行でトレッキング、今後の結婚生活において困難を共に乗り越えられる夫婦になりたいと思いつつ行った旅ですが、日常においては時に殴り合いの大喧嘩もまじえながら波乱に満ちたワイルドで楽しい!?毎日を送っております。(^^;)
けっして羨む事などのないように。
平穏がなによりです!!(と時々思ってみたり)
とにかくこれからもステキな旅を続けて下さい。
腰の具合心配されましたら是非京都までお越しやす。
わたくし自称・整体師です。正確には「なんちゃって整体師」ですが。
では人生一生の旅を互いに楽しみましょうね!
「一期一会」に感謝を込めて。。